北野田駅や初芝駅などのロータリーで、バスを待つご高齢の方々をよく見かけます。しかし、最近開催した座談会では、「足腰が弱くなってきた。これからの通院や買い物に不安がある」という、切実な声が数多く寄せられました。
2026年4月1日時点で堺市東区の人口は約8.4万人。高齢化率は30%を超えており、まさに3人に1人が高齢者という状況です。免許返納を考えつつも「その後の生活が不安で踏み切れない」という方や、日々の買い物に支障を感じている方が多く、この移動の不安を解消することは、私たちのまちにとって喫緊の課題です。
1. 深刻化する地域交通の現状と課題
現在、東区の交通環境はかつてない厳しさに直面しています。
その背景には、コロナ禍以降の慢性的な利用者減少に加え、全国的な深刻な運転手不足、そして燃料費や車両維持コストの増大があります。
こうした要因から、交通事業者は厳しい経営判断を強いられており、東区内でもバスの減便や路線の廃止が現実の脅威として迫っています。実際に「以前より待ち時間が長くなった」「不便になった」と感じている方も多いのではないでしょうか。
堺市では令和6年5月に「堺市地域公共交通計画」を策定し対策を講じていますが、現場のニーズとの乖離が依然として課題です。
東区内でも、坂道の多い地域や、駅・スーパーなどの主要施設から距離がある地域など、状況は様々です。
利用者目線の施策を実現するためには、住民の皆様が計画の段階から主体的に参画できる仕組みが不可欠です。
2. 堺市の支援制度と東区での「成功の芽」
こうした状況下で、高齢者の外出を支える重要な柱となっているのが「おでかけ応援制度」です。
現在利用できる堺市の支援制度
- おでかけ応援制度の紹介
65歳以上の方が、堺市内の路線バスや阪堺電車、南海電鉄(一部区間)を1回100円で利用できる制度です。詳細は堺市の公式ホームページをご確認ください。
おでかけ応援制度の詳細はこちら - おでかけ応援制度の期間限定無償化
特定の期間、対象者の利用料が無料になる取り組みも実施されています。お出かけのきっかけとしてぜひご活用ください。
期間限定無償化の最新情報はこちら
この制度の対象者をさらに拡充し、より多くの方が気軽に外出できる環境を整えていくことも、今後の重要な検討事項です。
また、東区における前向きな事例として、隣接する大阪狭山市が運営するバスの乗り入れ(2023年2月開始)が挙げられます。
行政と地元自治会が連携し、北野田駅や美原区役所へのアクセスが改善されたことで、住民の皆様から大変喜ばれています。
この「行政の枠組みを超えた取り組み」こそ、真に利用者目線に立った施策と言えるでしょう。
3. これからの東区が目指すべき「次世代の移動支援」
既存のバス路線を維持する努力と並行して、これからは新しい視点での「移動のカタチ」を模索していかなければなりません。
例えば、スクールバスや病院の送迎バスの空き時間を活用した共同運行などは、すでに実証実験を行っている自治体もあり、東区でも導入の可能性を検討すべきです。
そのためには、交通事業者だけに負担を強いるのではなく、地域のくらし全体(職場、病院、学校、店舗)に関わる課題として、住民・事業者・行政が三位一体となって議論する場が必要です。
地域公共交通は、単なる移動手段ではありません。私たちの「まちづくり」そのものです。
誰もが住み慣れた東区で、自由に、そして安心して動き回れる未来。そんな「当たり前」の日常を、共に創り上げていきましょう。
